2011年4月4日月曜日

【転載】 『福島原発事故に対する政府・東電の責任』

2011年4月1日 10:27 SBIホールディングス CEO 北尾吉考

私は今月15日『福島原発事故は天災か人災か』と題したブログを書きましたが、その後出てきた様々な事故関連の情報を見るにつけ、人災的要素が大きいというように思わざるを得ないような状況になっています。
日本政府と東京電力株式会社(以下、東電)の責任が、いよいよ明らかになってきたのです。

第一にTwitterでも呟いた通り、原子炉冷却において何故最初から海水を注入しなかったのかということです。
東電は原子炉を廃炉とすることに抵抗し初期段階で海水による対処を行いませんでしたが、それ故に炉心融解が起こるというようなことに繋がって行ったとしか私には思えません。
次に米国のルース駐日大使もTwitterで述べていたように、当初から米国政府は「東京電力福島第1原子力発電所の事態悪化に備え、放射能被害管理などを専門とする約450人の部隊を日本に派遣する準備」等をしていたにも拘らず(※1)、日本政府がその受け入れを拒んできたということです(※2)。
菅総理は如何なる根拠に基づいて「日本だけで対処出来る」というように考えたのかと、その浅はかさに開いた口が塞がりません。
今後は現状の分析から対処方法の検討に至るまで米国やフランスに全面依存して行く体制を早急に敷くべきであり(※3)、今週tweetしたように下らない面子などには一切拘るべきではないのです。
米仏両国とも原爆を保有し幾多の核実験を行っており、また米国については日本に原爆まで投下し、今回福島県で起きた事故と同じ様な原発事故を経験した国ですから、日本に比して問題処理能力が遥かに高いのは言うまでもありません。
事故発生から今日に至る過程で明らかになったのは、こうした事態に対する日本政府の対応能力がゼロに等しく、日本で“専門家”と称される人達の中に専門家足る人は誰一人としていないと言っても過言ではないということです。
海洋や土壌に対する放射性物質汚染は深刻な状況にあるわけで(※4)、今日本は一刻の猶予も許さぬ緊急事態に直面しているのです。
日本の関係者の能力だけでは事態を収拾出来ないことが証明された今、直ぐにでも米仏等の専門家部隊に問題の処理を全面的に委ねるべきではないでしょうか(※5)。2~3日前からの報道を見ていますと、この点では全面的かどうかは定かではないですが、漸く政府も動き出したようです。
そして一刻も早く今回問題となっているものを全部廃炉にし、また同時代に作られた同じような設計の原発についても、その全てについて早急に見直しを行わなくてはなりません。

東電についてはほぼ間違いなく債務超過に陥ることになるでしょうから、この際時限立法で国有化すべきであると私は思っています。
考えて見ますと、戦後日本の電力業界というのは「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門翁が9電力体制を築き上げ、それなりに機能してきたとも言えるわけですが、その一方でこの狭い日本において50ヘルツ/60ヘルツと2種類の周波数を明治時代から存在させ続けてきたことは大きな過ちであったと言えましょう。
そしてこの周波数統一が実現されなかった理由に関して言えば、私は東電のような半独占企業を私企業としてきたこと自体が大問題であったと捉えており、東電はやるべき周波数の統一をコストが掛かるとして実施してきませんでした。
上述した意味で更に言うならば、例えば東電のような会社が何千億円もの利益を上げる必要性があるのかという問題が指摘されるわけで(※6)、それ程の利益を上げるならば当然ながら電気料金をその分下げるべきではないでしょうか。
それにも拘らずその道理に反し東電が実際に行ってきたのは、莫大な販促費や広告宣伝費等を毎年のように投じ続けるということなのです。
従って、一体何のために上述したような費用を掛け続ける必要があったのかということは問われるべき論点の一つであると捉えており、費用面における不透明な部分について今後徹底的に見直して行かなければならないと思っています。

私は直ちに東電を一時的に国有化し、次の2つのことを実施すべきであると考えています。
最初にすべきことは・・・・・・

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『中国古典から見る政治の三要素』

参考
※1:米軍、放射能専門家部隊450人派遣準備 日本はアドバイザー利用が有効
※2:原発事故直後、日本政府が米の支援申し入れ断る
※3:汚染水処理、米独仏から機材やノウハウ 福島第1
※4:東京新聞:地下水も基準の1万倍 原発、汚染拡大を裏付け
※5:米海兵隊、放射線専門部隊が来日へ 緊急事態に備え
※6:東京電力 主要な経営指標等の推移

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